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酷寒の地に建つ住宅。富士北麓に位置する敷地は、南面に富士山の雄大な姿を望み、周辺は緑豊かな環境が拡がる別荘地であるが、冬季には外気温−15℃、積雪80cmを記録する厳寒の地である。山荘は年間を通じて週末に利用する別荘であるが、夫のリタイア後には「終の住処」となることから、「自然と一体化した家で、暖かく老後の生活を楽しみたい。」との要望が寄せられ、設計概念を「山荘の開放感と熱環境の共生をテーマとし、夏涼しく・冬暖かい住まいを簡潔なフォルムにデザインする」こととした。
一般に寒冷地の別荘は、寒さ対策から窓が小さく固く閉じた表情の建築デザインになりやすいが、この別荘では寒さを克服して、南国に暮らすような開放されたデザインとすべく、全体計画と熱環境の整合性を設計の要点にすえている。建物構成は、全体を母屋と下屋に2分割して東西方向にスライドさせた。この平面上のズレにより、全ての部屋が南面するため、建物全体に自然光の恩恵が与えられ、また、ズレで生じた入隅空間は広々としたデッキに利用して、部屋に閉ざされがちな冬場の生活空間にアクティビティーを与えている。
暖房計画は、自然光と室内暖気循環を最大限に活かしながら、ガスと灯油による採熱方法を効率的に組合わせて設計した。実際の運用は、ガス床暖房を早朝5時起床1時間前にタイマー起動し、2時間駆動して止める。太陽が昇ってからは日射採熱で室内を暖め、夕方からは灯油ストーブを焚いて、輻射熱や室内暖気を外に逃がさず床下循環して再利用している。竣工後の調査では、酷寒気の1月でも、室内外温度差は常時15-20℃が確保されており、1月の燃料費はガス=\5,100、灯油=\4,500の都合\9,600(2005年1月現在)であった。年金生活に優しい、パジャマで生活できる暖かな省エネの「終の住処」となった。
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