沼津の家 

 

 

 所在地

静岡県清水市

 

 

 構造

RC造+木造 地上2階

 

 

 床面積

196.88u

 

 

 竣工

1995年

 

 

掲載誌

・旭硝子 ハローアーキテクト

・新建築 住宅特集 Vol.114

 

 

曖昧な関係を表した2世帯住宅

 

 

 中庭形式の2世帯住宅。この家に住む親夫婦と息子家族の生活リズムは異なっており、スムーズな共同生活にはこの家族に相応しい住まい方が必要であった。そこで、価値観の異なる2世帯の生活プログラムを策定し、この発展的関係性を「気配」とした。

  平面計画では、生活空間の中で双方の家族動線が交わることは回避され、共有空間は不要とされたが、他方、いわば中心不在の関係性を空間構造に置き換えるときに、総体としての一個の家をどのように秩序づけるべきなのかが設計上の問題であった。人と人のコミュニケーションは多様にして位相的である。建築空間だけでコミュニケーションの操作をすることは困難だが、空間がその媒体のひとつになり得ることもあるだろう。

  こうしたことから、住人の穏やかな関係性をこの家のプログラムの中心ととらえ、一定の機能や拘束力をもたない曖昧な媒体的空間をこの家に導入し、そこに2世帯の関係性を落とし込むことで家全体の秩序を形成しようと考えた。「気配」を建築空間として中庭に置き換え、選択的、恣意的にお互いの家族がコミュニケーションできる場を設定した。

 空間構成は中庭を中心にしてダイナミックに構成されており、断面計画は一様ではない。1階は鉄筋コンクリート壁構造、2階は木造であり、中庭からの見上げが多様に展開する。緑や水を積極的に建築要素に取り込んで、環境に優しい斬新な建築言語を開発した。

 

周辺環境と中庭形式

 初めて敷地を訪れたとき、ポツポツと建ち始めた近くの中高層マンションなどから、数年の内に環境が激変してしまうことが伺い知れたため、周辺環境から住まいの外周を閉じ、生活のベクトルを内側に向けた中庭形式の住宅にして静謐な環境を確保した。親夫婦のゾーンは1階に将来を見越した高齢者対応住宅とし、車いすの生活が可能な廊下幅、段差のない玄関と床、水回りの広さそして手摺の取りつけなどを考慮した。

  上下階それぞれの玄関や室は、諸相互に90°ずらして配置して平面位置が重なり合うことを避けた。また1階は中庭に向けた開口により視界を広げ、2階は通風や採光を確保しつつ、視界が直接1階に届くことがないように開口部を配慮した。


 

 

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