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迷宮住宅。円形外壁の中に渦巻き状にプランが展開する。したがって、空間の連続性はとどまらないが、シークエンスは90度のコーナーを契機として一変する。この不連続なシークエンスに物語性を重ね合わせて、断面計画の多様さを追求した。渦巻き平面の終点は坪庭で周あり、囲の諸室が視覚的一体感と風・採光・換気などの通快適性を同時に獲得している。
十分な広さをもった敷地は、おおらかな家の成立を当初より約束してくれていたといえよう。都会の限られた敷地の中で、ワンボックスカーのような四角い箱の住宅にいかに部屋を詰め込むかといった、限定的な空間構成とは様相が異なっていた。そこで、この住宅では「場」と「場」の伸びやかな距離感の構成と、それらの接合の方法がテーマとなるととらえた。「場」と「場」の距離感は、空間の高揚と予感に直結し、接合の方法は、秘められた空間への潜在感と住宅全体の物語性にたどり着く。いい換えれば、空間の「引き」の演出と、「引き」の終わりとはじまりのエンドレスな関係性と捉え、円形の外壁の中に、右渦巻き状に矩形プランを展開させた。
プランからすると一種の迷宮住宅なのであるが、モロッコのフェズやマラケシュのスーク(市場)、ヴェネチアの街区に見られるような独立した「場」が連続し、都市の全体像がイメージの中で結ばれる全体構成を意図したのではなく、どこからでも全体が透けてみえるような「場」の関係性をイメージしていたといえよう。アプローチからはじまり、家の中心の光庭にいたるまで空間の連続性はとどまらないが、それぞれの独立したシークエンスは90°のコーナーを契機として一変する。この変容するシークエンスの連続と不連続の全体がこの住宅の基軸を決定しており、「場」の独立性と住宅全体への参加を同時に体感することができるのである。
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