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夫婦と子供ふたりの家族構成、ライフスタイルや周辺環境、限られた予算と建築規模など、この住宅のクライテリアは極めてスタンダードなものであり、社会の平均的断面が凝縮されていた。こうしたことから、この住宅を「標準解」のケーススタディハウスととらえ、汎用住宅の提言をテーマとした。
一方施主からは、空間の解放、非日常的空間の楽しみ、中庭へのあこがれ、子育てスペース、身障者対応であることなど、標準に対比する施主の固有プログラム「非標準」が求められたため、自由度の高い内部空間の構成をもって応えようとした。
標準へのアプローチは、即物的絶対値100uの床面積を指標としてスタートした。100uの床面積は、地方で暮らす一般勤労世帯の標準値であり、同時にこの住宅に重なる。住宅の適正規模は、一人当たり50uで4人家族では200uと目されるが、今日の標準はこれに届かない。そこで、数値を超えた空間意識のエキスパンスを、全体構成の基調とした。
どのような住宅であれ、その枠組みを1個人家族とする限りにおいては、特殊解となる。しかし、これら住宅に通底する、社会の価値観、生活感などに、ある時代のスタンダードとなる共通要素を見出し、それらとの関係において建築を成立させることは可能であろう。例えば、終戦後の増沢洵、広瀬謙二らによる優れた最小限住宅の数々は、その好例である。また、1940から60年代にかけて造られた、P.コーニッグやC.イームズらによる、一連のケーススタディハウスもこの系譜に類する。時代のスタンダードは、明快な架構システムをがもたらす美学に結実したのである。「構造」と「架構」は、近似にして異なる概念である。構造は、純粋に力学モデルであるのに対して、架構は空間の骨格を決定する、すぐれて統辞的な概念である。架構の成り立ち要因は様々であるが、その本質は素材特性と建築表現の関係に負っている。つまり、架構による新しい空間の可能性が、可逆的に成立する。
こうしたことから、100u住宅を解くキープログラムを、包括概念としての架構システムとし、これの標準化と汎用性の可能性を探った。木割モデュールをベースにした、ワーレントラスと規格木材で単位架構システムを構築し、その結果、獲得した流動性の高い無柱空間に、個別解としての生活プログラムを埋め込んだ。「架構」を基軸とした、単純さ、直截さ、抑制されたデザインといった、簡潔で論理的な建築形態と、建築表現の高純度な結晶点を期待した。
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